『暁まいり』に魂が燃えた! ~豊穣を願う福島市伝統の祭り

福島市街地を遠くに見下ろす信夫山の山道。担ぎ手たちは羽黒神社に向かって突き進む。
(撮影:白坂和哉)

Introduction:今回の取材を通して分かったことは、2月10日に行われた『暁まいり』とは、単に「大わらじ」を担いで市中を練り歩くだけの祭りではないということです。

そこには脈々と受け継がれた伝統があり、地域の人々の絆があり、そして何よりも、祭りに参加する人々、特に「大わらじ」の担ぎ手となった者たちの「燃えたぎる魂」がありました。

祭りの ”天王山” となるのは、福島市の中心部に位置する「信夫山」
わずか275mほどの山ではありますが、大わらじの担ぎ手の眼前に大きな壁なって立ちふさがります。

彼らはこの難所を乗り越え、無事「大わらじ」を「羽黒神社」に奉納することができるのでしょうか?

奉納出発式で道中の安全を祈願する

『暁まいり』で担がれるのは長さ12m、幅1.4m、重さ2tの「大わらじ」ですが、福島市の御山地区 国道13号線沿線にある作業所で製作されます。
(▼下記画像)
1月の中旬に起工式を行い、「大わらじ」の製作が開始されます。
地元の作り手7名が、それぞれの仕事の合間を見ながら約10日間もの間、2月10日の本番に向けて「大わらじ」を仕上げてゆきます。

(撮影:白坂和哉)

2月10日の朝8時30分、「令和二年 信夫三山暁まいり大わらじ」奉納出発式が「大わらじ」作業所で始まりました。
この式では、羽黒神社の宮司・冨田好弘氏を中心に、以下の8つの神事が執り行われ、道中の安全を祈願するのです。
(▼下記画像)

- 神 事 -
・修祓の儀(しゅばつのぎ)
・降神の儀(こうしんのぎ)
・献饌の儀(けんせんのぎ)
・祝詞奏上(のりとそうじょう)
・御神楽奉奏(おかぐらほうそう)
・玉串奉奠(たまぐしほうてん)
・撤饌の儀(てっせんのぎ)
・昇神の儀(しょうしんのぎ)                      
最後は「御神酒拝戴」で奉納出発式は閉会となります。
(撮影:白坂和哉)

奉納出発式では、 木幡浩(こはた ひろし)福島市長、亀岡偉民(かめおか よしたみ)衆議院議員(文部科学副大臣兼内閣府副大臣)も駆けつけ、祝辞を述べました。

『暁まいり』とは、どんな祭りなのか?

「暁まいり」の順路
出典:こらんしょふくしま「信夫三山暁まいり」

『暁まいり』、正確には『信夫三山暁まいり』となりますが、福島市の中心に位置する信夫山の「羽黒神社」の祭典で、毎年2月10日、11日に行われます。
歴史は古く、江戸時代から400年以上にわたり受け継がれてきており、羽黒神社への「大わらじ」の奉納で知られています。

伊勢神宮などへの長旅をする人々が、旅の安全や健脚をを祈願して羽黒神社へわらじを奉納したのが始まりとされており、戦前には福島市内各地から五穀豊穣・無病息災・家内安全を願って、毎年5つほどの「大わらじ」が奉納されていました。

戦後になると人手不足などの理由により、「大わらじ」を奉納するのは今回紹介する「御山敬神会」のみとなっております。

『暁まいり』から『わらじまつり』が生まれた!

ここは重要なポイントです。
福島市で毎年8月に開催される『福島わらじまつり』と、『暁まいり』とは親子関係にあるということです。

『暁まいり』は400年以上の歴史を誇りますが、『福島わらじまつり』は福島市と福島商工会議所が市民の健脚を願い、1970年(昭和45年)に開催したのが始まりです。

つまり、二つの祭りは歴史の古さは違えども、毎年2月に片方の「大わらじ」を奉納し(暁まいり)、8月にもう片方の「大わらじ」を奉納する(福島わらじまつり)という意味において、両者は完全なる親子関係を形成しているのです。

そう言った視点で、これら地元の祭りを見るのも大変興味深いものがあり、両方の祭りに参加、参拝することで、ご利益もさらに深いものになるのではないでしょうか。

ちなみに、『福島わらじまつり』は2019年の第50回の節目に際し、福島県出身の音楽家・大友良英(おおとも よしひで)氏をプロデューサーに迎え、祭り全体を大きくリニューアルしました。

▼ 『福島わらじまつり』の紹介や、福島市の現状を多面的に考察しています。

◆ 関連記事 ◆
 『大友良英氏を迎え、「福島わらじまつり」が改革期を迎えている』

羽黒神社に向けて出発だ!

長さ12m、幅1.4m、重さ2tもの「大わらじ」は、太い木材によって組まれた台座の上に載せられ、担ぎ手はこの台座を担ぐ格好になります。
(▼下記画像)

(撮影:白坂和哉)

【ワンポイント!】
「大わらじ」の重さは2tと言いましたが、正確には「大わらじ」自体の重さは約800㎏(0.8t) 程です。
実は木製の台座の方が重くて、約1.2tあります。

御山地区の作業場を後にした「大わらじ」は、約100人の担ぎ手と共に市内を練り歩きます。

現場の指揮を執るのは「日本一の大わらじを担ぐ会会長」小池雄一さん。
彼の指揮の下、「大わらじ」は目的地である信夫山の「羽黒神社」を目指すことになります。

黄色いはっぴに身を包み、担ぎ手に檄を飛ばす小池雄一さん。小池さんは「日本一の大わらじを担ぐ会会長」を務められ、まさに「大わらじ」担ぎの ”現場指揮官” です(と、本人が言っておられました(笑))
(撮影:白坂和哉)
ワッショイ! ワッショイ!」の掛け声と共に、住宅街を練り歩く「大わらじ」
(撮影:白坂和哉)
一部の区間では「こどもわらじ」も登場します。
(撮影:白坂和哉)
飯坂街道、福島交通「泉」駅付近を練り歩く「大わらじ」──この後、福島市街地に入り、いよいよ信夫山へ!
(撮影:白坂和哉)

いよいよ信夫山へ!「魂」が炸裂する!

「大わらじ」同様、神輿を担いだり山車を引いて市中を練り歩くというのは、どの地方でも見ることができる、言わば祭りの風物詩のようなものです。

しかし、『暁まいり』が他の祭りと決定的に違うのは、信夫山という勾配のある山道を登らなくてはならないということ。

「暁まいり」においては市中も含め全行程十数㎞にわたり「大わらじ」を担ぐことになりますが、最後の約2㎞が勾配のある信夫山ロードです。そしてさらに、羽黒神社の境内につながる山道はあまりに急勾配、かつ、整備されておりません!

一歩間違えれば大怪我に繋がりかねない過酷なロードを、担ぎ手は制覇しなければならないのです。まさにここが ”見せ場” であり ”魂の炸裂する現場” でもあります。
さて、担ぎ手たちは、この困難にどのように立ち向かったのでしょうか?

信夫山山麓の「黒沼神社」や「護国神社」に立ち寄った後、「羽黒神社」に向けて山道を練り歩く「大わらじ」──眼下に福島市街地が見下ろせます。
(撮影:白坂和哉)
担ぎ手にとって、山道はあまりに過酷です。途中で休憩を入れる必要があります。
(撮影:白坂和哉)
休憩後、再び「羽黒神社」へ向けて出発!
(撮影:白坂和哉)

最大の難所!羽黒神社 境内前 山道!

「羽黒神社」の境内まで、残り数百メートルになりました。

よくあるパターンとして、神社の境内に続く長くて急な階段をよく目にすることがありますが、羽黒神社の場合、階段が整備されているのは、ほんの一部分でしかありません。ほとんどは ▼下の画像にあるような、岩肌がゴツゴツと突き出る急で細い山道なのです。

この数百メートルが「暁まいり」における最大の難所!
「魂」の炸裂する現場です!

雄叫びをあげながら、担ぎ手は「大わらじ」を持ち上げます。
(撮影:白坂和哉)
境内まで数十メートルの地点です。上の方のは階段がありますが、それなりに痛んでいます。
(撮影:白坂和哉)
境内まであと数十メートル。「大わらじ」を背後から撮影したものですが、階段がとても急であることが分かります。

羽黒神社に到着した!

羽黒神社の社殿
(撮影:白坂和哉)

「大わらじ」は担ぎ手と共に、無事「羽黒神社」に到着しました。

神社の敷地内には、「大わらじ」を奉納するため高さ10m以上の鉄塔が立てられています。この鉄塔に「大わらじ」をぶら下げるように奉納することで、「暁まいり」は全ての行程を完了します。

作業をする方が、軽やかに鉄塔を登り始めました。
(撮影:白坂和哉)
頂上の作業員が手を挙げました! 「大わらじ」の奉納が完了した合図です。
(撮影:白坂和哉)
無事終了し、みんなで万歳三唱です!
(撮影:白坂和哉)

高い鉄塔の頂上で、黙々と作業をする方さっと手を上げました。無地に「大わらじ」が奉納されたことを告げる合図です。見守る方々は思わず歓声の声を上げます。

最後には祭り関係者、見物客、そして私たちメディアの人間総出で「万歳三唱!」

──空には数発の花火の爆音も鳴り響き、これで今年の「暁まいり」も無地終了です。感動的なフィナーレだったと思います。

関係者の皆さまへ。
一人の怪我人もなく無事したことを、心よりお喜び申し上げます。

Last Updated on 2020-04-03 by この記事を書いた人:白坂和哉

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