Introduction:新型コロナウイルスの感染拡大は世界で1100万人の感染者を記録し、死亡者も52万人を超えています。

東京都では7月2日から4日にかけ、新型コロナの感染者が「107人」「124人」「131人」と3日連続で100人以上を上回り、ここにきて第2波の感染も予感させる状況となっています。

世界では多くの死亡者が出る中、それでも、日本では死亡者が圧倒的に少ないのもまた事実です。米ワシントン・ポスト紙も特集記事を組むなど、一つのミステリーとして世界中の専門家らの注目を集めています。

今回は、日本でコロナ死亡者がなぜ少ないのか?様々な仮説を通じて検証してみたいと思います。

仮説① 肥満の人が少ないため

日本でのコロナ死亡者が、欧米などの各国と比べると圧倒的に少ないことは数字にも明確に表れています。人口100万人あたりの死亡者数を見てみると、現在世界で最も多いイギリスを初め、上位4カ国とは、2桁の差が出てしまっていることが分かります。

国名人口100万人あ
たりの死亡者数
イギリス669.9人
スペイン604.8人
アメリカ393.3人
ブラジル296.1人
日本7.7人
※2020年7月4日時点での数値
資料出典:MEDLEY
「1. 新型コロナウイルスの流行状況」

なぜゆえに、ここまで大きな差になってしまうのか?
一つの仮説として挙げられるのが、日本では肥満の人が欧米よりも少ないことが挙げられます。

「BMI」という言葉は、肥満度を判定する指標としてよく耳にします。
「体重」を「身長の2乗」で割ることで求められるますが、人口に占める肥満(BMI25以上)の人の割合はアメリカで「71%」、イギリスで「63.3%」です。
一方、日本の場合はどうかと言えば、「25.9%」に留まっています。

肥満の人は新型コロナでも重症化しやすいことが分かっており、また肥満であることは高血圧や糖尿病なども併発することも多く、それだけ新型コロナの重症化へのリスクが高まることを意味します。よって、こういった肥満率の違いが、日本で死亡者が少ない要因の一つではないかと考えられています。

仮説② 交差免疫を獲得したため

過去に新型コロナと似たようなウイルスに感染し、その時に獲得した「免疫」が、今回の新型コロナにも上手いこと作用した。
このような「交差免疫」により、日本ではコロナ死亡者が少ないとする仮説もあります。

未知のウイルスに感染した場合、人体内では「抗体」が作られます。
感染初期に抗体が「IgM」が、
しばらくして抗体「IgG」が作られます。

「IgM」は早期に消えますが、「IgG」は長期にわたって体内に残り、再度のウイルス感染に備えます。

東京大学先端科学センターで新型コロナ感染者の血液を調べたところ、「IgG」が「IgM」より先に作られるケースがあることが分かりました。つまり、日本人の中で新型コロナウイルスに似た別のウイルスに感染し、その際に免疫が獲得された証拠になるというのです。そして、この免疫が新型コロナに対する「交差免疫」として作用したのではないかと考えられています。

仮説③ 集団免疫を獲得したため

「交差免疫」説を、さらに具体的に推し進めた仮説が「集団免疫獲得」説です。

新型コロナには2つのウイルスの「型」があります。「K型」と「G型」です。

  • K型:弱毒性のウイルス
  • G型:強毒性のウイルス

2019年12月。中国で新型コロナウイルスの人への感染が確認され、2020年1月14日に中国政府当局がWHOに報告。1月16日には日本国内で初めての感染者も確認されました(武漢に渡航した中国籍の男性)

しかし、日本政府はその後も中国との往来に制限をかけることなく、入国制限が発令されたのは3月中旬になってからでした。この間、観光客として日本へ入国した中国人は推計180万人。このことにより、1月中旬頃に日本人が知らないうちに「K型」ウイルス感染のピークを迎えたというのです。

その一方で、2月から中国からの入国制限を敷いた欧米各国は、国内に「K型」ウイルスが蔓延することはありませんでした。逆に、変異したことで強毒性となった「G型」ウイルスが中国との往来が多いイタリアを中心に蔓延し、その後世界に広がったとされています。

つまり、弱毒性「K型」ウイルスの感染により、多くの日本人が「集団免疫」を獲得した。よって強毒性「G型」ウイルスの感染は拡大せず、日本人の死亡者は低い水準に留まっているという仮説です。

仮説④ 元々アジア人は新型コロナに強い

実は、新型コロナでの死亡者が少ないのは日本だけではありません。東アジア、東南アジアにこの傾向が顕著に見られるのです。

先ほども触れた「人口100万人あたりの死亡者数」では、日本は「7.7人」でしたが、韓国では「5.5人」となり、中国は「3.2人」で収まっています。さらにタイは「0.8人」で、台湾に至っては「0.3人」という驚くべき数字が並びます(※2020年7月4日時点)

なぜ、東アジア、東南アジアの死亡者数が少ないのかと言えば、一つの仮説として「人種」の違いが取り上げられています。

世界の人種を大別すると4つの類型に分かれます。
「コーカソイド」「ネグロイド」「オーストラロイド」、そして「モンゴロイド」です。そして、東アジア、東南アジアの人種がまさに「モンゴロイド」(黄色人種)
──この「モンゴロイド」で新型コロナの死亡者が少ないことになるわけです。

つまり、白人系よりも黄色系の方が、新型コロナに対する耐性が高いのではないかということ。そして、その要因と考えられているのが黄色系(モンゴロイド)特有の「遺伝子」です。

日本では慶応大、東京医科歯科大、大阪大、北里大、京都大を中心に8つの研究機関と医療機関約40施設が参加し、モンゴロイド特有の遺伝子から新型コロナの重症化の原因を解析するプロジェクトが既に始まっています。

新型コロナの重症化にはHLA(ヒト白血球抗原)、サイトカン(情報伝達物質)関連の遺伝子が関わっている可能性があるとされ、HLA遺伝子は人種間の偏りが大きいと考えられています。つまり、重症化する遺伝子は決まっており、モンゴロイドにはその遺伝子が少なく、他の人種には多いといった可能性があるということです。

これらの解析が進めば、発症後に患者が重症化しやすいか否かが判断できるかもしれません。そうなれば重症化予備軍の患者や高齢者を中心に対策を講じればよく、医療機関への大きな負荷軽減にも繋がります。また、ワクチン開発にも寄与するでしょう。

慶応大学医学部の金井隆典教授(消化器学)は、モンゴロイドの遺伝子解析に期待を寄せ、次のように語りました。
「最終的に診断時に患者の予後の予測に役立ち、第2、第3の流行の波が来たとき、医療崩壊を防ぐことにもつなげられるかもしれない」

新型コロナウイルスは世界レベルでは感染の拡大が続いていますが、日本を初め世界中の研究機関で、様々なアプローチにより未知のウイルスとの闘いは続けられています。

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